
琴の曲を思い浮かべるとき、まずちらつくのが宮城道雄の『春の海』である。天才作曲家、そして演奏家の彼が、急行“銀河”から転落死したというニュースが伝わったとき、ああ宮城さんの弾く琴の音は、もう終わったのだと人々は感じた。
芸大教授吉川英史さんの書いていた『宮城道雄伝』によれば「幼にして失明し箏曲界に入ったこと。朝鮮に渡ったため古典曲を学び得なかったこと。十六歳で作曲した『水の変態』に感動して後楯になることを約束した伊藤博文がハルピンで暗殺されたこと。この三つの不幸が世界的な作曲家宮城道雄を作りあげたのだ。」と述べてある。
とにかく彼は琴の演奏家であるとともに音の詩人であった。人一倍作曲に対して工夫をこころみた。琴にも洋楽の和音を取り入れることはできないか、チェロの低音を出すにはどうしたらよいか、ピアノの豊富な音は出ないにしても俳句のように言葉少なくして深い境地を、と彼は追究していった。
代表作は『春の海』のほか、『さくら変奏曲』『越天楽変奏曲』など。なお、東京飯田橋には宮城道雄記念館がある。
墓は黒系の石で、彼の弟子やファンで花がきれたことがない。
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墓地所在地は、変更になっている場合があります。
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