若い人に聞いてみると、東洋の思想を海外に紹介した岡倉天心(『茶の本』)は教科書で習ったけれど、
鈴木大拙はあまり知られていないようだ。
大拙は東大専科を出、鎌倉の円覚寺で参禅、明治三十年に渡米し、東洋学者ケラースの下で研究。
帰国後、禅思想を海外に広め、世界的な名声を博している人であり、昭和二十四年文化勲章を受章した。
晩年のエピソードでこういうのがある。大拙のそばに仕えていた岡村美穂子があるとき、
死ぬということはどういうことかと聞くと、「死ぬということか、死ぬということはこうだ」と、
いうなり傍らの長椅子にひょいと横たわり、舌をだらりと出し、いかにも“まいった”という表情で、
「グッド・バイ・ジョン(ころりといくという意味)」といい、けろりと起きて「どうだい」といったという。
禅に生き、それを世界に紹介した大拙の真骨頂がわかる気がする。
墓は五輪塔で祀られているが、いかにも仏教哲学者らしい趣をみせてくれる。五輪塔は仏教哲学の表現を意味している。
戒名 |
也風流庵大拙居士 |
玉垣 |
63cm |
職業 |
明治・大正・昭和期の宗教家 |
境石 |
30cm |
没年齢 |
96歳 |
竿石 |
123cm |
所在地 |
鎌倉市・東慶寺 |
石質 |
軟石系 |
墓の方位 |
西 |
墓のスタイル |
奇型(五輪塔) |
正面入り口の方位 |
西 |
台座 |
2段 |
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1987年現在の資料に基づいております。