明治43年1910年、学習院時代からの友人武者小路実篤、有島武郎らと「白樺」を創刊した。
初期から適確にして簡潔な短編小説の世界を構築し、同じ年には『城の崎にて』『和解』を発表。
その後も『小僧の神様』、『焚火』などの名作を生む。
推敲を尽くした簡潔な文体は、「無駄のない文章」として、大正から昭和にかけて多くの文学者に大きな影響を及ぼし、小説の神様という異名も称された。以降「白樺派」として戦前の小説界を牽引。
唯一の長編「暗夜行路」は近代的苦悩を背負った人間の「潔癖な魂の発展史」をテーマに取り上げた、近代日本文学の代表的作品であり、小説家・大岡昇平は近代文学の最高峰であると讃えている。
自らを題材に採った告白小説・私小説を中心として執筆。
文学史上において、強い倫理観、鋭い感受性、強靱な自我にささえられた作風は、大正・昭和を通じて多くの文学者の指標となった。太宰治から長篇小説『津軽』の中で批判を受けて立腹し、座談会の席上で太宰を激しく攻撃、これに対して太宰も連載評論「如是我聞」を書いて志賀に反撃したことがある。