明治、大正、昭和にかけて、文豪としてその足跡を遺した作家『泉鏡花』ほど、強烈な作風を築き上げた人はいまい。評論家たちは、「螺鈿作りの如く、繊細で緻密な幻想の世界や粋や侠の世界を描き出している。ロマン主義的陶酔の中の正義・義理人情を歌いあげている。」と評している。
　「ありがとう」と一語、臨終の言葉は静かだったと記せられている。北陸は金沢の生まれで、作家を志して上京、尾崎紅葉の門下に入り、小説の勉強を続けた。はじめのうちは、作品を発表しても不評だったが、『夜行巡査』『外科室』でようやく観念小説の作家として認められ、師匠である尾崎紅葉を乗り越えた。幼くして母を失った鏡花の文学では、母のイメージは慈悲深い観音のように美化され、女性への憧憬がちらつく。いうならばロマンチスト鏡花であったのだ。

戒名 幽幻院鏡花日彩居士 職業 明治・大正期の小説家 没年齢 67歳 所在地 東京都豊島区・雑司ヶ谷霊園 墓の方位 南西 正面入り口の方位 南西 玉垣 無 境石 35cm 竿石 130cm 石質 花崗岩（白色系） 墓のスタイル 細長い　 台座 2段・高さ65cm