
大阪は庶民の息吹を感じる町である。作家の世界で大阪を代表するなら、西鶴をもって第一人者といえよう。
色里を舞台に、愛欲に生涯をかけた町人世之介の半生を描いた『好色一代男』、『好色一代女』、『日本永代蔵』など、不朽の名作を生み出した、十七世紀末の天才的町人作家である。
西鶴の作家としての活動は四十一歳から五十一歳の十年間だけだったという。資産家の息子に生まれ、なに不足なく育ち、十五歳のときに俳諧に手をそめる。青年期には放蕩にふけり、父に勘当され、遊里の太鼓持ち同様の暮らしだった。その人生的な経験が彼のリアリズム的作風を生み出したのだ。若い妻に先だたれ、幼子を残された男やもめの時期、赤ん坊におかゆを作って食べさせながら書いたという『世間胸算用』、『西鶴置土産』など秀逸な作品ばかりである。つまり彼はさめた目で浮世の現実を見定めた作家であった。
何回となく西鶴愛好会の人たちの手で改修されたらしい墓は、俳諧師よろしく風流である。
![]() |
|
墓地所在地は、変更になっている場合があります。
トップページへ戻る |